魚座的愛の世界―フレンズ・ポールとミシェルⅠ

 フレンズ―ポールとミシェルを観ました。実に30年ぶりです。
 
 映画が公開されたのは’71年です。
当時、管理人は小学生で、同じ年に公開された小さな恋のメロディという作品をとても愛する子どもでした。
 劇場で観た「フレンズ」の予告編は衝撃的過ぎて、すぐに観る気になれず、この作品を観たのは高校3年の終わり頃でした。
大学の合格発表を待ちつつ観た記憶があります。

 14歳のミシェルと15歳のポールの逃避行。
隠れ家での二人だけの愛の生活。やがて妊娠、出産……そして悲劇を予感させるラスト。

 予告編以上に衝撃を受けた本編でしたが、あれから30年。
当時は持てなかった視点で作品と向き合う自分がおります。
 
 この映画の原作者でもあるルイス・ギルバート監督は、3月6日生まれの魚座
 イタリアルネッサンスの偉大な芸術家、ミケランジェロと同じ誕生日です。
魚座は生まれながらにして美的感覚をはじめとする様々な感覚の豊かな星座
 だからでしょうか。魚座生まれのアーティストやクリエイターの多いこと。

 20世紀の奇跡のバレエダンサー・ニジンスキー他、ヌレエフ、ルノワール、ミケランジェロ、ショパン、ヘンデル、ラヴェル、ロッシーニ、ヴィヴァルディ、スメタナ、ヨハン.シュトラウス1世、ヴィクトル・ユーゴ、イプセン、ワーズワースなどなど、綺羅星のごとく輝く芸術家のオンパレードを擁するのが魚座宮です。

 繊細で純度の高い感覚世界に生きる魚座人は、総じて現実生活との折り合いが不得手です。

 魚座男性は、実務の現場などで
 「アイツ、どうも仕事の詰めが甘いよな~」
 なんて言われてしまうのですが
 ハードな体系的思考が苦手な感覚派だからなんじゃないか、と思われます。
 それは、裏を返せば、彼らの多くが本格的な芸術家たる可能性を秘めたる所以なのです。

 あるいはパートナーの女性から
 「彼、一緒にいて楽しいんだけど、ここぞと言う時に頼りないのよね」
と思われているかも知れません。
 いいじゃありませんか、あなたがしっかりしていれば。
 彼の良さは優しさと他者への許しと献身です。
 それに、おだてりゃ、いくらでもその気になって頑張ってくれちゃうでしょ?
まぁ、あなたのご期待からすれば的が外れているかも知れませんが。
 さらに、才能を発揮した時の神がかり的な飛翔とでもいいましょうか…。

 生き馬の目を抜くような過当競争の中での、取るか取られるか、といった生活にはおよそなじめません。
 激しい現実の嵐から守ってくれる、揺り籠のような世界がなければ疲弊してしまうのが魚座人です。

 さて、ポールとミシェルが愛を育むロケ地となったアルルのカマルグは、二股に分岐したローヌ川と地中海に囲まれた三角州。
その中心部にはヴァカレス湖を有する湿地帯です。
 そこは珍しい塩生植物や、世界中から飛来する野鳥などで形成された生態系が存在しており、とりわけカマルグのフラミンゴや半野生化した白い馬は有名です。
 美しい夢のような生命の揺籃といった場所なんですね。
Photo
 なんと、水の宮の魚座らしいロケーションでしょう。(右の絵画はゴッホが描いた、カマルグのサント・マリー・ド・ラ・メール)

 母なる水に囲まれた湿地帯。
 その水辺の小さなアトリエで、日がな一日絵を描いて、バッカス神からの賜物のワインで酔っぱらう。
 傍らには、ボッチチェリのヴィーナスのように可憐な妻と天使のように可愛い子どもたち。
窓の外には水を蹴って走る白馬の群れ。
 夕焼けの圧倒的な赤の中で、何か楽器を奏でつつ一日の終焉を迎える。
母親の子宮を象徴するような、このうえなく平和で美しい小宇宙
 

 魚座のアーティストが理想とする世界そのものです。

 こんな生活で一生を終えることが出来たら…。
 ミシェルの父・画家のリシャール・ラトゥールとポール・ハリソンはギルバート監督の分身でしょう。

 しかし、この理想郷は、儚い夢のような世界。
 やがて、迫り来る現実のまえに、もろくも砕け散ってしまうのですが…。
 カマルグのような美しい生態系はもろい。ポールとミシェルの愛の世界も。無粋な土足で踏みにじられたら二度と元へは戻れないだろう
  優しい魚座のギルバート監督の言いたかったことの一つはこういうことかも知れません。

 魚座的愛の世界-フレンズ・ポールとミシェルⅡに続きます。

フレンズの世界を堪能したい方はこちらのサイトへぜひ!→カマルグのアトリエ


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若葉の頃―小さな恋のメロディⅡ

紅茶党―小さな恋のメロディの続きです。


歓声とともに、いつも走り回っている。
集団で、何か良からぬことをたくらんでいるようなノーティボーイ
本人たちはそうと気付かず、妙にコケティッシュな女の子
夢と現実を行ったり来たり。
地面の5cmほど上を、天駆けているかのような身の軽さ。
しなやかさ。
天使のような小鬼ども

Photo_2映画小さな恋のメロディに描かれた、特別な季節、思春期。

 授業をサボって、海辺でデートしていたダニエルとメロディに、校長先生はお説教。

「生徒が学校に来なかったら、我々は教えることも出来ん」

そうなんです。
子どもがいなかったら教師も親も成り立ちません。
 
 ハーメルンの笛吹きじゃないけれど、もしも、子どもが消えてしまったら、この世は、死んだような世界になってしまいます。

 映画のラストは、ダニエルとメロディが共にトロッコに乗って、未来へ…という示唆的な感じで終わっています。
これに
「稼ぎもない子ども二人が、どうやって生きていくんだ」
という疑問や違和感を感じた人もおありでしょう。
 
 でも、ここから作者のメッセージを読み取ることが出来ます。
 
 子どもがうんざりして逃げ出したくなるような世の中は、大人の責任ですかね、やはり。

 「大人になるって、みじめなものでしょ」
 と感じるダニエルに、大人は納得のいく答えを、態度や生き方で示せるかどうか。
あるいは、その不安に寄り添えるかどうか…。
 本当の意味での大人の責任はこのあたりにありそうな気がします。
 子どもをスポイルしたり、干からびた説教で煙に巻いてばかりいたら、大人の元から逃げ出したくなっちゃうのも道理かも。

 ダニエルとメロディが、海辺で潮風に吹かれながら、砂の城を創っているシーンは、まさに地上に舞い降りた天使のようでした。

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紅茶党-小さな恋のメロディ

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管理人は紅茶党。

 煎茶や珈琲も好きですが、日常的に紅茶を愛飲しています。

朝は、お湯を沸かしてポットで紅茶を淹れているうちに目が覚めてきます。

 濃い目に淹れて、蜂蜜や砂糖、クリープや暖めた牛乳、あるいはマーマレイド、時に生姜などを淹れて飲みます。手軽なティーバッグもよく使いますが、必ず沸騰したお湯でポットで淹れ、ティーコゼー(お茶帽子)で保温します。

 茶器は、丈夫で使いやすく品のあるウェッジウッド。かつて香港やシンガポールを旅行した時に、安く手に入れたものです。

 写真は、我が家にあるブルー&ホワイトの食器。カップ&ソーサーはウェエッジウッドではなく、スポードのブルーイタリアン。ヴィクトリア時代の雰囲気が感じられる柄です。

 我が家には白地に青の柄の磁器が多く、産出国は英国、タイ、日本、デンマーク、ベトナム、韓国とバラバラです。でも、色使いが同じなので違和感はありません。
 ちなみに、普段使いするため高級品は持っていません。

 話を紅茶に戻します。
 管理人が小学生の頃、大ヒットした小さな恋のメロディというイギリス映画がありました。
 思春期の、可愛い子役たちの魅力が一杯の学園ものです。

 管理人にとっての最も印象的なシーン。
 
 ヒロインのメロディが、学校の帰りに、好きになったダニエルを家に誘います。
 メロディの家ではちょうど3時のお茶の時間。
 家族は、娘が連れてきた突然の来客を暖かく迎え入れます。

 お母さんが、大きなティ-ポットから熱いお茶を注ぎ、これまた大きな生ハムのスライスをお皿に取り分けてくれます。
 「ハムは骨の周りが一番美味しいわ」
と、お婆さん。
 
な、何っ!?このバラ色の、ハンカチ大の、うす~い美味しそうなハムは!
 明らかに日本のハムと違うハム。

 さらに
 「ダニエル、魚食べる?」
 とお母さん。

 魚!?ティータイムに魚!焼き魚?まさか、煮魚じゃないよね。
何だか知らないけれど、紅茶と合う魚って食べてみたい……。

 この魚、オイルサーディンですね。トーストに乗せて食べると美味しいですよね。

当時の日本の子どもには十分にエキゾチックな英国の食生活。

でもって、愉快なお父さんが、娘の初めてのBFを前にして、やたらとテンパりながら、嘘かホントか分からない話で、一所懸命笑いを取ろうとするところ。
 英国庶民の幸せそうな一家団欒の様子にすっかり魅了されてしまいました。

ダニエルとメロディの愛の語らいも、トムの頼もしいガキ大将ぶりも、ラストのカッコイイ結婚式も、ビージーズやCSN&Yの音楽も,皆みんな素敵だったですとも!
 しか~し!
 食い意地の張った子どもだった管理人の印象に残ったのは食事のシーンばかり。

 他にも、ダニエルのママが出かける直前までお茶を飲んでいるシーン、職員室の朝のティータイム(ただし、ここで先生方が飲んでいるのはネスレのインスタント珈琲だそうです)など、実に美味しそうなお茶がよく出てくる映画でした。

 高校の頃はなぜか一部の友人たちの間で紅茶が流行し、男子も女子も、ダージリンがいいだの、アッサムだの、オレンジ・ペコがどうのこうのとおしゃべりしていた記憶があります。
 
 ちなみに管理人は祁門(キームン)かアールグレイが好きです。

愛すべきガキ大将、トムを演じたジャック・ワイルドは、2006年に53歳で世を去りました。 
 映画「オリバー」で、すでに本格的な演劇人を予感させる芸達者ぶりだったジャック。 
ありし日のジャック・ワイルド

カマルグのアトリエ管理人・モーランGさんの、目頭が熱くなるようなサイトです。

 一方、ダニエルを演じたマーク・レスター
天使というものが地上に存在したら、きっと、かくあるべしと思わせる程、可愛かった彼は,カイロ・クリニックを経営する実業家に。
カールトン・クリニック

若葉の頃―小さな恋のメロディⅡへ続きます。 
 

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乙女座は塵を積もらせ山にする

 ショーシャンクの空には最も好きな映画の中の一つ。
 

製作発表された’94年、アカデミー賞を受賞したのはフォレストガンプでした。
 その影であまり目立たない存在に甘んじている感があるのですが、私は断然、断然こちらのファンです。

 この映画は、ほとんど絶望的に見える局面においても、針の穴からさす光ほどの希望を信じて、知性と能力を総動員しつつそれに向かった人間が、最後にどんなすごいことを引き起こすかを、
教条的な説教臭さを一切排除して見せてくれます。

 慎重で堅実な努力の積み重ねが、まるで魔法のように途方もないラストに集約していく様子は圧巻。もう恐れ入りやの鬼子母神(!?)な作品。

 管理人思うに、その途方もないコツコツ努力の主人公、アンディ・デュフレーンは乙女座です。

 若くして銀行の副頭取を勤めるアンディは実務家の典型。言ってみれば非感覚的人間です。
 事実関係の裏打ちなしに、雰囲気や好みや人情に流されて物事を信じ込んだりしません

 とっつきが悪く、第一印象は冷酷に見えるのですが、けっしてそうではありません。情熱を内に秘めた理性派なのです。 
 たとえば映画の中でアンディが、高校中退のロックンロール兄ちゃん・トミーに高卒の資格を取らせようと、一所懸命勉強を教える姿はとても暖かくって優しい。

 緻密でコンサバティブ。 そして、周到で完璧な戦略

 この映画を観ると、実務家の実力にあこがれちゃいます。

 これらの特徴を知れば知るほどアンディが乙女座に見えてくる、っていうんで調べてみたら、この映画の原作者のホラー小説王、スティーブン・キングが’47年9月21日生まれの乙女座でした。

 占星術翁・満天王いわく
 「絵でも建築物でも文章でも、作品というものはすべて作者そのもの。
たとえば小説の主人公や重要人物は、たいていその作者の姿が投影されているものじゃ」
うんうん。翁、本当にそうだね。さすが年の功。

 映画「ショーシャンクの空に」の原作は、キングの短編集、「ゴールデンボーイー恐怖の四季・春夏編」に収められた刑務所のリタ・ヘイワース

 さて原作の主人公アンディはたしか、小柄で華奢な神経質そうな男、となっていたと思いますが、映画では2m近い大男ティム・ロビンスが好演しています。
 相手役のモーガン・フリーマンはアカデミー賞、ゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされました。
 いたいけで可愛いロックンロール兄ちゃんトミーはギル・ベロウズです。
ちなみにどうもトミーは魚座に見えてしまう管理人です。


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秘密の花園

 幼い頃より、心の奥底に培ってきた小宇宙
 現実に疲れた折などに訪れては、そこの草木や空気、水や生きものと親しみ、再び現実世界に蘇生してゆくための、この世のどこにもない秘密の場所。

 子どものころ(もちろん大人になってからも)、たぶん誰しも親しんだであろう特別な場所を思い出させてくれるのが、映画秘密の花園(原作:フランセス・H・バーネット)です。   

 考えてみれば子どもの人生ってなかなか大変です。
 知性もプライドもあるのに、生活力、知識、経験がなく、おまけに体力もないので、当面は大人に依存せずには生きていけないのですから。

 メアリとコリンは上流階級の生まれですが、それぞれ大人からの愛情に恵まれず、周囲から徹底的にスポイルされています。
 最初、メアリは頑迷な老人のように気難しい子どもとして、コリンは死の恐怖におびえつつ、ヒステリーの発作を繰り返す寝たきりの子どもとして、つまり、とうてい手に負えないような、哀れな風情で登場します。

 ただその性格と体質は彼ら生来のものではなく、実は、置かれた環境をそのまま体現しているだけ、ということがよくわかります。 

 子どもは本来、生命力旺盛。豊かな感性や、他者と親密になれる才能も生まれながらにして持っているものです。もちろんメアリとコリンとて例外ではありません。

 メアリはある日、封印された庭を発見します。
 この庭と、召使の弟・野生児のようなディコンの助けをかりて、はじめて自分の意思で何かを成し遂げようと決意し、実行するメアリとコリン。
 みるみる蘇生してゆく彼らは、本来の柔軟さと健康を取り戻しただけでなく、エロティックですらあります。

 妻の死から立ち直れず、妻を思い出させる息子コリンとの関わりを持つことができなかったクレイブン卿や、使用人頭のサディスティックなメドロック女史、子ども嫌いで社交にしか興味がなかったメアリの母親らからはエロスのかけらも感じなかったのに。

 この映画は、健康な子ども同士というのは十分エロス的存在だということを教えてくれます。

 プラトンによればエロスとは真善美に到達しようとする哲学的衝動ということです。
 なので、いろいろあって疲れちゃってる(笑)大人よりは、子どものほうがエロスに近いのも当然なのかもしれません。

 子どもはエロスの何たるかをただ生きているだけで示してくれる。

 大人は子どもを養ってやっている、などと思っていますが、実は生かされているのは、大人の方なのかも知れません。

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天秤座シガニーのバランスの良さ

  前回ご紹介した映画スノーホワイトSNOW WHITEで大活躍だったシガニー・ウィ―バー
 いやはや上品な奥方から、悲劇の母親、誘惑的なファムファタル、狂気に翻弄されて止まらない魔女、そして極めつけは特殊メイクを駆使したリンゴ売りの老婆と、この1本で「シガニー大変身」を堪能できます。
見ている方も楽しいけれど、演っている方はさぞや楽しいであろうと思わせる映画です。

 シガニー・ウィ―バーは1949年、10月8日が誕生日の天秤座。テレビ会社社長の父と女優の母を持つ生粋のニューヨークっ子です。スタンフォード大では英文学を、エール大では演劇を専攻して修士号を取った才媛。
 その後アクターズワークショップで演劇を学び、舞台女優を経て’77年「アニーホール」で映画デビュー。
アカデミー賞に複数ノミネートされるなど、女優としての地位を不動のものにしています。
夫は舞台演出家。現在は映画制作のプロダクションを設立し、さらに精力的に活躍しています。
また、41歳でママにもなっています。

 このプロフィールでもわかるとおり、生まれ育ちがいいだけでは手にできない成功を得ているシガニー。
 まさに天秤座的なすぐれた現実感覚と、バランスの良さを持ち合わせています。
有能な実業家が女優もやっているという感じでしょうか。
何をやらせても器用にこなし、それでいて器用貧乏にはおちいっていないのですね。

 天秤座はエネルギッシュでスタミナにあふれ、仕事や遊びの仲間として人気がある、ということですが、それは、仕事には遊びの楽しさを、遊びには仕事の真剣さを取り入れられるバランス感覚の良さゆえでしょう。
 エネルギッシュとはいっても、「汗」とか「根性」とかとはおよそ無縁に見える天秤座。
 けっこう、すごいことをサラリとやっているように見え、努力を表に出すような無粋さを感じさせない優雅な星座です。

天秤座:9/23~10/22、風の宮、支配星は金星

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映画スノーホワイトに見る母娘の心理劇

グリム童話の白雪姫をリメイクした映画は数あれど、中でも個人的によくできているなぁと感心したのが、シガニー・ウィーバー、モニカ・キーナ出演のスノーホワイトSNOW WHITE(’97初公開・米)

 洋の東西を問わず、おとぎ話によく登場するテーマのひとつに継母ものがあります。
 白雪姫シンデレラ、鉢かつぎ姫などに見られる継母は、なさぬ仲の娘の存在を脅かしにかかるのが定番。 
 が、実はこの継母たち、心理学的には実母と見るのが妥当なようです。

 「まさか~。どうして実の母親がわが娘を脅かすの?」
 と思った方は、母娘間の葛藤がない、あるいは比較的少ない幸運な方かも知れません。
 母親と娘はある時を境に、女としての存在や生き方をめぐって火花を散らすことがあるのです…。
 
 中世、北ヨーロッパのとある領主の後妻として迎えられたクローディアは、美しく、教養豊かな女性。
 何かと反抗的な先妻の娘リリーとも、なんとか仲良くなりたいと願っています。

というのも、クローディアの母親は、ある理由で世間から差別され、不幸なまま死んでいった女性。
 そんな母のもとで育ったクローディアの悲願は、この世界に輝かしい形で受け入れられ、母が果たせなかった幸福―人間として、女性として、母親としての幸せを享受すること

 生まれた時からいい家に育った令嬢のようにふるまうクローディアは、普段は本来の自分を抑圧しています。
 その抑圧したシャドウとも言うべきもう一人の自分を鏡の中に閉じ込めて、精神のバランスをうまく保っていたクローディアでしたが…。
 可愛いかった娘が、いつしか自分の存在を脅かすような女性と化した時、母親もまた恐ろしい魔女に変身してしまうのです。

 それにしても…女同士の、狂気と正気の、邪気と無邪気の壮絶な闘いの前に、王も青年貴族もなすすべもなくデクノボウ状態なのでした。
 いやはや、抑圧されていない男は、抑圧されている女の前では赤ん坊も同然。
 これを読んでいる方も、誰かの地雷を踏まぬよう気をつけましょう。
 この映画に関する心理学的補足説明こちらをクリック。 

★シガニー・ウィ―バーが狂気の「継母」クローディアをド迫力で演じています。
対する「白雪姫」リリーも、原作のような弱々しい姫ではありません。理不尽な事態に果敢に立ち向かってゆく気の強いお嬢を、モニカ・キーナが好演。
中世の、異教徒や魔女迫害に対するテーゼも盛り込まれており、演出も凝っていて、子ども向けの甘い作りにはなっていません。
 画面はあくまで、幻想的で、悲劇的な美しさをたたえるファンタジック・ゴシック・ホラーです。 

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悲劇の母性・ローズマリーの赤ちゃん

 ロマン・ポランスキー監督のスタイリッシュなサイコ・ホラー映画、ローズマリーの赤ちゃんROSEMARY'S BABY(’68年・日本初公開)。

 あこがれのマンハッタンの高級アパートメントに引っ越してきたヒロインのローズマリー。

 可愛いらしいファッションに身をつつみ、カルチャースクールに通い、夫や友人とともに観劇や外食を楽しむ若妻。

 ローラアシュレイ風にリフォームした室内に最新の家電をそろえ、暖炉をたいてディナーを整え、リビングでパーティを開く生活です。cover

 映画が公開された当時、日本でそんなライフスタイルを実践している主婦はまれな存在で、映像で垣間見るアメリカの豊かさは圧倒的でした。

 戦後からずっと、日本人はこの豊かさを目指して頑張ってきたのだなぁとしばし感慨しきり。

 しかしそんな表面の豊かさとはうらはらに、画面には始終重苦しく沈鬱な雰囲気が漂います。

 それは、親切な隣人たちが、実は悪魔のしもべ(!)だからというわけではありません。

  この映画の恐さの根底にあるのは、一点の曇りもなく幸せそうな主婦が陥る、動かしがたい閉塞感と、狂気です。 

 何もとりたてて、本物の悪魔を登場させずとも、世の中には、親しげな隣人の悪意、カルトや妖しげな宗教、インチキ商法やネズミ溝といった、他人を食い物にしようとする物事が渦巻いており、不安と閉塞感を抱いているローズマリーのような主婦ほど、その格好の餌食になり易い現実を彷彿とさせるのです。 

 さらに、この映画がうまく出来ているのは、妊婦が妊娠によって陥る異常な状態をとことん利用していること。

 妊娠の経験がある方はおわかりでしょうが、軽度から重度まで、妊婦がマタニティー・ブルーに陥いるのはよくあることです。

特に悪阻の時の、味覚・嗜好の変化は、人により、なかなかスゴイものが。
水を飲んでも吐いてしまうので、病院で点滴を打っていた人。
「悪阻の時期、これを食べずにいられなかった物」の中には、お茶っ葉、青いトマト、炭酸が飲めなかった人が2ヶ月程ほぼコーラのみで生きていたとか、中には白墨をかじった(!)という人まで。

 ローズマリーが手づかみで、生のレバーをムシャムシャやるシーンに「わかるわ」と思った方、いるでしょう、きっと。

 さらに、家庭用の医学書を紐解けば、
「子宮外妊娠」「羊水異常」「逆子」「先天性異常」「前置胎盤」「早期破水」「胎盤早期剥離」「胎児死亡」
などといった用語が記載されており、加えて、息苦しさ、腰痛、下肢のむくみ、疲労その他でいやがうえにもナーバスになりがち。 

 一体、ローズマリーが、マタニティーブルーによる妄想でおかしくなっているのか、それとも…!?というあたりが怖い!

 ともあれ、ジェットコースターのような映画の醍醐味に思いっきり振り回されるのが一番いい楽しみ方でしょう。

 ただし妊婦さんにはお奨めしません
 産んでから観て下さい。

 映画の舞台となったのは、故ジョン・レノンも住んでいたN・Y最初の超高級アパートメント、ダコタ・ハウスです。

 ローズマリーを演じたミア・ファローの薄幸そうな雰囲気が作風にぴったり。

 悪魔の隣人ミニー・キャスタベットを演じたルース・ゴードンはこの作品でアカデミー助演女優賞を受賞しています。
 なるほどルースの演技は悪魔も思わず舌を巻く出来で、拍手喝采もの。彼女が10月30日生まれの蠍座だからって肩入れしているわけではありません。

 そして実は映画よりもスゴイのがアイラ・レヴィン作の小説「ローズマリーの赤ちゃん」の方。

 管理人の手もとには叔母から譲り受けた昭和42年10月発行・早川書房の新書版があるのですが、これがなんと販売当時、後半部分がブルーの袋で閉じてあったのです。
そして冒頭には読者に宛てた次のような記述が。

あなたはこの小説を途中でやめられますか?
やめられたら代金はお返しします

ー中略ー封をやぶらずに小社まで直接ご持参くだされば、お一人1冊につき代金をお返しします」

  もちろん封はとうの昔に破られておりました。叔母は途中でやめられなかったようです。

 早川書房の読者への粋なアプローチに頼もしさを感じつつも、「ホントにそんなに面白いのかいな?」と半信半疑で何気なく読み始めたとたん、文字通り途中で止まらなくなり貫徹してしまったのでした。

 時あたかも中間テストの真っ最中。試験勉強のほんの息抜きのつもりだったのですが…。第一級のエンターテイメントって本当に恐いです(笑)。

蠍座:10/23~11/21水の宮、支配星は冥王星

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水瓶座の青春の巨匠Ⅱ:ロミオとジュリエット

ゼフィレッリ監督作品の中のもうひとつの名作ロミオとジュリエット-ROMEO &JULIET(’68年 日本初公開)も管理人にとっての永遠の名作。
B000197HXI.09.MZZZZZZZ.gif これはロードショウではなくリバイバルで見ました。友人と一緒に高校の午後の授業(倫理社会と世界史だった)を抜け出して、制服のまま堂々と見に行ったのでした。

 この映画のテーマは、ニーノ・ロータ制作の主題歌の題名そのまま"WHAT IS A YOUTH?(若さとは何ぞや)"でしょう。

 出会った瞬間に恋に落ちるロミオとジュリエットは、細胞の隅々まで生命力にあふれ、美しく、しかし無防備で、世間を知らず、考えなしで、刹那的で、視野狭窄的です。過去も未来もなく、今この瞬間と恋する相手がこの世のすべてなのです。

 恋を成就させるためなら、世間のルールも親も家名もなんのその。老いた肉体を思い煩い、老後のことだの、お金だの、権力だのに執着する態度とは正反対の哲学。
 これこそまさに若さなんですねぇ。

 同じ若さでも、せいぜい授業を抜け出して映画を見に行く程度だった私たちに比べ、自分たちだけで結婚式は挙げるわ、48時間仮死状態になる薬を何の躊躇もなく飲むわ、あっという間に自害するわ、もうロミオとジュリエットのスケールのデカさというか若さゆえの暴走に圧倒されっぱなし。

 主演のオリビア・ハッセーとレナード・ホワイティングは撮影当時15歳と16歳でした。二人の類まれな美しさ、若々しく躍動するしなやかな肢体にはため息がでます。

 特に黒髪で、みどり色の瞳のオリビアは、宝石のようにきれい!
 まさに神の創りたもうた傑作です。後にも先にもこれ以上のジュリエットは出ないとさえ感じるほど(クレア・デーンズ、太刀打ちは、ちょ~っとムリじゃ)。

 生涯のうちで、二人が生物的に最も美しく輝いた瞬間を切り取って映像に納めたような感があり、今となっては若さというものの儚さに胸が痛くなります。

 映像の雰囲気は、中世の美しい絵画そのもの。その中で躍動する若者たちとのコントラストがみごと。

 さて、水瓶座の人の特徴のひとつは「若い」ということ。実年齢とは関係なくいろいろな意味で若さを保持している人が多いのです。”若さの普遍性の追及”をテーマに掲げた「ロミオとジュリエット」は、はまさに水瓶座のゼフィレッリ監督らしい作品なのです。

水瓶座:1/21~2/19、風の宮、支配星は天王星

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水瓶座の青春の巨匠Ⅰ:ブラザーサン、シスターム―ン

 思春期の頃に出会った忘れられない映画があります。
 そのなかの一つがフランコ・ゼフィレッリ監督作品のブラザー・サン・シスタームーンBROTHER SUN,SISTER MOON(’73年 日本初公開)。 

B000228TVI.09.MZZZZZZZ.gifこれは13世紀に実在したアッシジの聖フランチェスコの半生を描いた物語です。
彼は作物を作ったり、物乞いすることすらしないような厳しい清貧の思想を実践した聖人でした。

 豪商の息子フランチェスコはもとは明るく享楽的で俗っぽい若者でした。
 若くして商売にも長けた彼は父親自慢の息子。
 そんな彼が騎士の位と栄誉をかけた戦争に参加します。
 ところが戦地で熱病に罹り、生死をさまようことに。
 かとうじて助かった後、それまでとは正反対の人格に生まれかわっていたのです。
 
神と富、二人の主人に仕えることは出来ない
 この世の富や肩書きに執着することの愚かしさを説き、ただ野に咲く小さな花のように生きたいと思いつめるフランチェスコ。 

 印象的なシーンはいくつもありますが、中でも好きなのが次のシーン。 

 ★公衆の面前で着ているものを次々に脱いでゆき
 「私は貧しき者になりたい。キリストもそうだった。あなたから もらったものをすべてお返しします」
 と父親に静かに言い渡して、素っ裸で城壁の外へと去ってゆくフランチェスコ。

 ★「理解されることや愛されることを期待するんじゃなくて、私が理解したい。愛したいの!」
 と叫び、フランチェスコたちと共に生きる決心をする少女クレアの剃髪の儀式のシーン。  

 ★「あなた方の貧しさの前に私は恥じ入る
 とフランチェスコの足元にひざまづくローマ教皇。

ロードショーで見た当時、まだ年端もいかない子どもでした。
 ちっぽけな自分とこの世との折り合いの狭間で、色々な疑問符が中に浮いていました。

 フランチェスコやクレアのようにはとうてい生きられない。
手塩にかけて育てた息子からこんな仕打ちを受ける父親の哀れなこと。
でも……理想のない人生では魂が閉塞する。

 今も昔も映画に描かれたこのうえなく気高い人間の姿に圧倒される思いです。

 とはいえこの作品、こむずかしい宗教映画という要素はほとんどありません。
若き聖フランチェスコの瑞々しい青春の物語といえます。
 美しい映像や、ドノヴァンの甘く切ない音楽とあいまって胸がキュンキュンします。


監督のフランコ・ゼフィレッリは誕生日が2月2日の水瓶座。ある時ゼフィレッリ監督が交通事故に遭い、床に伏していた時に夢の中に聖フランチェスコが現れたとか。
 この映画は監督が自分の中の宗教的な思いを形にして世に送り出そうと決心したことから生まれたということです。

 水瓶座の人は高尚な思想を持ち、物質の世界を越えて、より高い次元を志すことがあるようです。
 管理人の知人でも、水瓶座の人の中には、高いレベルの魂の成長を求めるがゆえに、俗っぽい世間との折り合いが良くない人は多いみたい。ガンバレ水瓶座!

水瓶座:1/21~2/19、風の宮、支配星は天王星

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映画「リプリー」の中の蠍座的人物

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‘00年日本で公開されたアンソニー・ミンゲラ監督の「リプリーTHE TALENTED MR. RIPLEY」。
 それより40年ほど前に制作されたアラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」。どちらも原作はパトリシア・ハイスミスの小説「リプリー」(角川文庫)を映画化したものです。

 舞台は’50年代後半のイタリア。
 この映画のテーマは「自分の現実を否定し、別の誰かになり代わろうとする欲望にとりつかれた人間の罪」。

 それぞれの作品の評価については様々なご意見がおありでしょうが、ここでは映画「リプリー」の中の蠍座的人物に的をしぼります。

 アメリカの大富豪の御曹司子ディッキー・グリーンリーフ(ジュード・ロウ)は、この世の人間の欲望をすべて具現化したような人物といっても過言ではありません。
 太陽神アポロのような輝くばかりの美貌、名門大学の学位、贅沢三昧のイタリア遊学、洗練された恋人マージ(グィネス・パルトロウ)。
 そして自己中心的で後悔しない性格と、まさに“銀のスプーンをくわえて生まれてきた”人間としての、陽のあたる人生を送っています。

 一方主人公トム・リプリー(マット・デイモン)は謎めいた生い立ちの、日陰の人生をあゆむような青年

 ふとしたきっかけでこの2人の人生が交錯します。トムはディッキーとマージに迎え入れられ、3人はつかの間のパラダイスを味わうのです。

 そこに一人の男があらわれます。
 彼の登場によって、にわかに人間関係に変化と緊張が走り、ストーリーは急展開を迎えます。その男はフレディ・マイルズ(フィリップ・シーモア・ホフマン)。
 ディッキーに負けず劣らずのドラ息子。彼は最初に会った瞬間からトムが上流階級の人間ではないことを見破るのです。
 
 トムに対する強い疑念を募らせてゆくフレディのまなざしは、隠された物事の裏側までも見抜くような鋭さに満ちています。
 フレディを前にしたトムは、まるで蛇ににらまれたカエルのよう。周囲を欺いているのはトムなのに、そのトムの方がかわいそうに思えてくるほどです。フレディは身内に甘く異分子には敏感。

 フレディの直感の鋭さと物事の真相を暴こうとするしつようなまでの探究心は蠍座的特色です。並外れて享楽的で健啖家なところもね。
 イヤ~な人物に見えるかも知れませんが、実はフレディは真実に向き合う勇気があり、友人思いで情は深いのです。
  
 忽然と姿を消してしまったディッキーをめぐって周囲の人々はあわただしく動き回りますが、そんな中、いち早くトムの犯罪性を確信するフレディなのでした。

ハリウッドや英国の若手俳優陣の演技力がみごと。監督の美意識が細部にまでゆきとどいた作品。
 ちなみに私、管理人の目にはディッキーは獅子座に見えます。 夢見る令嬢メレディス(ケイト・ブランシェット)は魚座かな?
小説家志望の令嬢マージ(グイネス・パルトロワ)は双子座
 そして映画では地味ながら、上品かつ優しさの権化のような風情で印象に残る男性ピーター(ジャック・ダベンポート)は蟹座ではなかろうか。
 あの母性的愛情はハンパじゃない気がするのですが。
 トム・リプリーは……わかりません。

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