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映画・ノルウェイの森

 2011年2月の公開最終日に滑り込みで観てまいりました。
 3・11の震災などの影響…は、ほとんど関係ないのですが、今頃、映画評を書いています。ははは。
Photo
 映画・ノルウェイの森のパンフレット→
 プルート通信内の関連記事ノルウェイの森のこともご参照下さい。

 ●緑役の水原希子ちゃんは、トラン監督の奥さんの若い頃にそっくり!母性を感じさせる弥勒菩薩顔。
 
 監督の奥さんとは、彼の作品には欠かせないアーティストのイェンケ・リュゲルヌです。
 青いパパイヤの香り夏至などでヒロイン役をやっていた人ですね。

 女性の好みが一貫しているところが一徹な山羊座のトラン監督らしいなぁと感じ入りました。
  
 ●日本人監督なら(たぶん)69年当時の雰囲気を作品に盛り込むにあたり、当時の風物…たとえば都電とか、街や路地などの様子を再現したくなるんじゃないか…と感じるのですが、この映画にはそういったものはありません。
 あくまで外国人の想像上の過去の日本なのです。
 なので、作品世界が、確かに過去の日本なんだろうけれど、実際の69年というよりはパラレルワールドの過去の日本といったような不思議な感じでした。

 なんといいましょうか、「此処ではない何処か」を描いたファンタジー作品のような…。

 「ノルウェイの森」の映画化に関しては、これはもうよく村上春樹からOKをもらえたことだ!のひとことでして、そういった意味合いで、私はトラン監督は「よくやった」のではないかと感じます。
 
 もっとずっと後の世代に、それこそ原作者亡き後とか、この作品が古典的なポジショニングを得るであろう頃とかに、映画化する日本人が出るかも知れませんが。

 作品世界の芸術性に関しては、私は好きです。
「青いパパイヤ~」や「夏至」などのトラン作品同様、どの場面を切り取っても、細部まで監督の芸術的神経がいきわたったみごとな絵になっていました。

 さて…映画ではなく原作に関して。
 
 これは、「死」という絶対的で敵わない相手に囚われてしまった儚げな直子姫を、なんとか生きた世界に連れ戻そうと奮闘するも、敢え無く敗れ、自身も深い傷を負う騎士ワタナベの物語。

 この作品の個人的な感想は、観念的な何か(この作品の場合は死)に囚われ過ぎてしまった頑固者はどうにも出来ないものであるなぁということでした(最初に読んだ20年以上前も、今も)。

  およそ、自然は人間がコントロールできるものではありません。
 いくら文明を発達させても、台風や地震や火山の噴火などの自然現象そのものを防ぐことは不可能です。
 死も同様です。

 ・どうせ死ぬのだから、漫然とその時を待つのではなく、死に方と死ぬ時期を自分で選び取りたい派。

 ・いづれ死ぬのだが、それまでは何らかの代償を払いつつ、とにもかくにも生きてゆく派。
 もしこういった派閥あるがあるとしたら、管理人は後者です。

 死とは、絶対的で理不尽です。
 死んで楽になりたいくらい辛い、と感じても望みどおり死ねるものでもないし、また、どんなに生きたくても、無念にもその生をもぎ取られてしまうこともある。
 死はコントロール出来ません。
  
 死んだ瞬間には自分の意識はすでにないので、私たちは死そのものを体験したり味わったり堪能したりも出来ません

 死んだ後の事も、遺された人たちのことも、死んでしまった身にはあずかり知らぬこと。
 死がイベントになりうるのは、あくまでも死んだ本人ではなく生きている人たちにとってのことなのです。
 
 これはとどのつまり私にとって私の死は存在しないということではないか。
 管理人流メメエントモリの結論はこのように整いました。
  
 自分の死とは観念以外の何ものでもありません。
 観念に囚われすぎて現実生活がうまくいかなくなってしまう、というのは…受身すぎるかヒマすぎるかのどちらかではないか、と。
 小人閑居して不善をなす(個人的経験上)。

   井戸に落っこちるのはしょうがないとして、そこからいかに這い上がったか、という話なら好きなのですが。
  
 そんな感覚なものですから、死の妄想とか死ぬことに囚われてしまった人の話には…やはりどうにも心が惹かれないのです。 

   

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