« 蛙の王 | トップページ | ラー油もち、塩豚もち »

ラ・メール,コキィユ,ピエル

Photo_7
 春から初夏、あるいは秋のオフシーズンに訪れる、隠れ家のような海辺のプチホテルがあります。    
 Photo_5
フロントに荷物を預けたら、裸足で目の前の浜に出ます。

●日の光を吸った温かいサラサラの砂の上を歩く。
●海水を含んだ砂に足跡をつける。
●足元の砂が波にさらわれる感覚を味わう。
ラムネの瓶の色をした波と戯れる。
細かい泡が足をくすぐる感覚を楽しむ。
潮風を思い切り吸い込む。
●貝殻や綺麗な石を拾う。
砂の城を造る。
●拾った棒切れで砂に模様や文字を描く。
●波打ち際で側転をする。
●寄せては砕けて返す波をただ見つめる。
●砂の上に出来た風紋を鑑賞する。
●「波が引いた後の鏡のような砂浜に映る空や雲や太陽を脳裏に刻む。
に遊んでもらう。
……まったく飽きる事がありません。
 
 漁港や堤防の上を歩いてみるのも楽しい。
 お腹がすいたら、近くのお寿司屋さんに入りましょうか。
 新鮮な魚介のにぎりをほお張り、焼き物や天麩羅に舌鼓。
 こうなったらビールでも地酒でも(笑)。

Photo_6
 雲間から日がさして、海の上に降り注ぐ様子は、神の祝福のよう
 このまま雨が降らなければ、明日の朝食はバスケットに詰めて、テラスの赤いパラソルの下で頂くことが出来そうです。
 その後はスケッチブックを持って絵を描きに行きましょうか。
Photo_4
  チェックイン後は部屋でゆっくりお茶を飲んでからホテルの中を散策します。
 ライブラリーにある写真集をながめたり、誰かに手紙を書くのもいいですね。
 メールじゃなくて手紙です。
  
 大浴場では手足をぐぅ~んと伸ばしてお湯に漬かりましょう。

 そうこうするうちに夜の帳が降りてきて、窓の外のテラスにはが焚かれます。

 は四大元素…それらを結合させるのは…なぁ~んて事を思っていると、お腹がぐぅぐぅぐぅ~!っと鳴って食事を催促してきました(昼時あんだけ食べたのに)。

 レストランでは、地元の食材を使ったシェフ自慢の料理が待っています。
 すんなり眠るために食後のお茶はいつもハーブティです。薫り高い珈琲は明朝のお楽しみにとっておきましょう。
 
 夕食後は外へちょっと散歩に出てみましょうか。
 よろず屋さんに入ってみると、86歳のおばあさんがお店番をしていました。
 きれいな肌をした、驚くほど若く美しいその方は、もと海女さん。
 昔、海女さんをやっていらした頃の写真を見せて頂きました。
 そこに写っている海女さんたちのかっこいいことといったらありません!
 驚くべき身体機能を生かした職能もさることながら、眩しいような肢体の健康美は日本のヴィーナスといった感じです。
 「孫は甲子園に出たんですよ」
 と嬉しそう。

 夜の波の音ってどうしてあんなに癒されるのでしょうか。
 ベッドの中で波の音を聞いていると、思いが遥か太古の昔に戻っていくようです。

 遠くで汽笛が鳴っています。

 翌朝、早朝のお風呂から戻ってきた同行者が言いました。
 「足の甲にあった湿疹が治っちゃった…。昨日海に足を浸して遊んでいたせいかな!
 
  海のお土産は、拾った貝殻と石。

 貝殻って自然の造形美の極致といっても過言ではないかも知れません。
 建築物や身の回りの実用品、ある時代の様式美の中には貝殻をモデルにしたものもありますよね。

 本当に…どうしてこんなに美しいものが造られるのか不思議です。
 自然という造物主はすごいですね。
Photo_8

 波が丸く削った石には油性のマジックペンで絵を描きましょう。
 ペーパーウェイトとして、机上のアクセサリーとして側に置いておきます。

 遠い海からやってきた可愛い子たちです。
Photo
 昨年の春に見つけたのは、小さな丸い穴がいくつも開いた石。
 一体誰がどうやって…?

 どうやら、石の表面の凹部分に、砂粒や小さな貝殻の欠片が乗っかり、長い時間の末、波によって穴が開いていったらしいのですが…やっぱりとっても不思議です。
 
 海は饒舌で、治癒者で、芸術家。
 その差し出すものは限りなく豊かです


|

« 蛙の王 | トップページ | ラー油もち、塩豚もち »

コメント

お久しぶりです。
記事の内容とは、別世界のような季節にコメントを付けていますが、何とも羨ましい、素敵なオフですね。

貝殻と石。フランス文学者にして作家であった、澁澤龍彦は貝のコレクターだったそうですね。貝殻や石は、生の花などと違って、その美しさが、時間と共に失われていくことがないから良いのだと。実は、それを読んだ時、私は激しく共感してしまったのです。いえ、生きているものの美しさやはかなさが、かけがえのないものであることは十分承知なのですが、弱ってしまった状態のものを見なければならない痛みも、相当切実だったりするのです。

投稿: Steinbock | 2011/12/05 03:59

Steinbockさま
 
 お久しぶりです。お待ちしておりました(笑)。

 澁澤龍彦…懐かしい名前です。
 若い頃、書店や図書館で彼の名前を見ると、とりあえず買うか借りるかしていた作家です。
 現在、私の本棚には「エロティシズム」「夢の宇宙誌」「幻想の肖像」「毒薬の手帳」「世界悪女物語」サドの訳書「恋の罪」などがあります。
 別の場所にも何冊かあるはずです。

 澁澤龍彦と久世光彦の、デカダンスで耽美主義的な美意識には憧れたものです。今も好きです。
 エロティシズムについての本は、社会学者や哲学者、その他色々な作家が著していますが、私は澁澤龍彦の、美的感覚あふれる(しかも分かりやすい)エロティシズム論が一番好きかも知れません。

 澁澤龍彦は貝のコレクターだったんですね。なるほど…。
 そういえば、誰だったか(フランス人だったか日本人だったか)、
「生きものの美とは肉の美ではない。その下にある骨こそが美しいのだ」
 というような事を言った人がいました。
 貝とか石の、朽ちることのない硬質な美を賛美するのと同じ感覚なのかも知れないなぁと、Steinbockさまのコメントを読んで感じました。

 花を活けると、周りの空気が華やかになりますが、でも、日々変化してじきにしおれてきます。
 そうなったらとっとと始末しないと、痛んだ花や茎などが、景色や気分をげんなりさせますよね。
 貝や石の美に比べると実に儚い美です。

投稿: プルート通信管理人 | 2011/12/06 23:44

ノルウェイの森に関する記事に、何かコメントを付けたいと思っていて、だんだん逸れてしまいました。(笑)
管理人様が、澁澤龍彦ファンと知って嬉しいです。私が彼の本を読んだのは生徒時代だったでしょうか。
今の10代、20代の若い人は、澁澤なんて、もう読まないのでしょうね・・・。「少女コレクション序説」なんていう危ない内容を想像させる著書もありましたね。
訳書でも、とんでもないのがあって、「城の中のイギリス人」なんて、もはやエロスがグロテスクな領域にまで及んでいます。
とても「ライ麦畑」みたいな青春小説を出した、某新書とは思えません(笑)。
それにしても、石けんの彫刻の記事を拝読した時にも思いましたが、石にも気の利いた装飾を施せてしまう管理人さまのセンスは羨ましい限りです。

投稿: Steinbock | 2011/12/08 05:58

Steinbockさま
 
 日本が今のような先進国になる前、高度経済成長途上にあった頃、澁澤のようなデカダンスな美意識というのは、あきらかに一般庶民が発信できるものではなかったですよね。
 彼の教養の高さやフランス関連事項への精通ぶりもやはり普通ではなかったと感じます。
 
 今は子どもが普通に読む漫画の性描写が結構すごいことになっていたりしますね(笑)。

『城の中のイギリス人』は昔、先輩に
「これはねぇ、猛毒だからね。若い女の子は読んじゃダメよ」とか言われて、わかった、とばかりに素直に読みませんでした(笑)。
 今なら読んでみようかと思ってみたり、あるいはいい歳をして猛毒に触れて、心臓にでも来たら周りに迷惑か、と思ってみたり。
 それにしても…人間の書いたものが猛毒になりうるなんて…本当にペンは剣より強しですねぇ。

 私のつたない作品をお褒め頂き、恐縮です。ありがとうございます。石鹸や石をカッターやマジックペンで何とはなしにいじっていたらあんな風になりました。
 

投稿: プルート通信管理人 | 2011/12/08 21:41

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21283/52047389

この記事へのトラックバック一覧です: ラ・メール,コキィユ,ピエル:

« 蛙の王 | トップページ | ラー油もち、塩豚もち »