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秘密の花園

 幼い頃より、心の奥底に培ってきた小宇宙
 現実に疲れた折などに訪れては、そこの草木や空気、水や生きものと親しみ、再び現実世界に蘇生してゆくための、この世のどこにもない秘密の場所。

 子どものころ(もちろん大人になってからも)、たぶん誰しも親しんだであろう特別な場所を思い出させてくれるのが、映画秘密の花園(原作:フランセス・H・バーネット)です。   

 考えてみれば子どもの人生ってなかなか大変です。
 知性もプライドもあるのに、生活力、知識、経験がなく、おまけに体力もないので、当面は大人に依存せずには生きていけないのですから。

 メアリとコリンは上流階級の生まれですが、それぞれ大人からの愛情に恵まれず、周囲から徹底的にスポイルされています。
 最初、メアリは頑迷な老人のように気難しい子どもとして、コリンは死の恐怖におびえつつ、ヒステリーの発作を繰り返す寝たきりの子どもとして、つまり、とうてい手に負えないような、哀れな風情で登場します。

 ただその性格と体質は彼ら生来のものではなく、実は、置かれた環境をそのまま体現しているだけ、ということがよくわかります。 

 子どもは本来、生命力旺盛。豊かな感性や、他者と親密になれる才能も生まれながらにして持っているものです。もちろんメアリとコリンとて例外ではありません。

 メアリはある日、封印された庭を発見します。
 この庭と、召使の弟・野生児のようなディコンの助けをかりて、はじめて自分の意思で何かを成し遂げようと決意し、実行するメアリとコリン。
 みるみる蘇生してゆく彼らは、本来の柔軟さと健康を取り戻しただけでなく、エロティックですらあります。

 妻の死から立ち直れず、妻を思い出させる息子コリンとの関わりを持つことができなかったクレイブン卿や、使用人頭のサディスティックなメドロック女史、子ども嫌いで社交にしか興味がなかったメアリの母親らからはエロスのかけらも感じなかったのに。

 この映画は、健康な子ども同士というのは十分エロス的存在だということを教えてくれます。

 プラトンによればエロスとは真善美に到達しようとする哲学的衝動ということです。
 なので、いろいろあって疲れちゃってる(笑)大人よりは、子どものほうがエロスに近いのも当然なのかもしれません。

 子どもはエロスの何たるかをただ生きているだけで示してくれる。

 大人は子どもを養ってやっている、などと思っていますが、実は生かされているのは、大人の方なのかも知れません。

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