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母娘の心理劇ー娘に嫉妬する母親

 前々回の記事映画スノーホワイトに見る母娘の心理劇の続きといいますか、補足説明をしておきます。あの記事のテーマは「母親が嫉妬ゆえに実の娘の存在を脅かす」というものでした。では、どんな母親が娘に嫉妬するのでしょうか。それは、心が満たされず、幸福に生きていない母親です。

 「これからは女生も自立する時代よ。特にウチの親戚は皆優秀だから、あなたもいい学校からいい会社に入ってくれないとみっともないわ」
 と母親に言われ、一生懸命頑張って一流企業に総合職で就職した娘が、バリバリ仕事して充実した生活を送っていたとします。すると今度は
 「お友だちもいとこの○○ちゃんも、いい人見つけて結婚したというのに…30過ぎて男みたいに仕事しか生きがいがないなんてねぇ。やっぱり女の幸せはいいダンナ様と可愛い子どもがいてこそよ。私にも可愛い孫を抱かせほしもんだわ」
 と、突然180度逆の価値観を押し付けて娘を混乱させる。そんな母親が典型的です。 

 この母親は自分では「私ほど娘を心配するいい母親はいない」などと思っていますが、そうではありません。実はせっかく積み上げた娘の努力を台無しにしてしまう人なのです。
 彼女は自分の人生に虚しさを感じていますが、それを自分でどうにかする気はないのです。自分の現実に直面したり、自分を高めて現状を変える努力は嫌いだけど、他の人間の足を引っ張って、自分と同じ不幸レベルにおとしめる努力ならいくらでもいといません
 勿論、本人にそんなことをしている自覚はありません。ほとんどが無意識の行動なのです。そうやって他人の人生を使って刹那的に憂鬱さを解消しているのです。その一番のターゲットになりやすいのが娘です。

 こういう母親の、娘に対する要求や干渉には際限がありません。娘の人生を道具にして生きているので、娘が自分をさしおいて自分だけ幸福になったり、完全に自立を果たそうとすると、無意識のうちにそれらを破壊しにかかります。結局は娘を自分のもとから離そうとはしないのです。
 娘の食事を作ったり、洗濯をしたり、車で送り迎えしたり、金銭を与えるなど、細かく世話を焼いたりするのも、そうして娘を自分に依存させて巧妙に自立を阻むためです。娘が自立してしまうと、イヤでも自分の虚しい人生に向き合わざるを得なくなりますが、そんなことには耐えられないとどこかで知っているからです。

 昨今、引きこもりや摂食障害、リストカットなどをする女性がふえていますが、実際のところ、嫉妬深い母親に自立を阻まれ、生きる力を奪われ続け、生きることそのものに疲れきってしまった女性が少なくないということです。
 あらゆる手をつくして白雪姫謀殺を計り、最後に毒リンゴでとどめをさす魔女と、娘を心身ともに蝕んでしまう現代の母親は重なる気がしませんか?

 ではシャルル・ペローのシンデレラに見る母娘の関係はどうでしょうか。
 あの話は、継母が自分の連れ子二人を可愛がり、先妻の娘シンデレラをいじめる、ということでしたが、実はシンデレラも母親の実の娘なのです。複数いる子供のうちの一人だけがいじめられるということも実際よくあること。では、どういう子がそんな目にあうのでしょうか。

 それは親のコンプレックスを刺激する子です。童話「シンデレラ」でいえば、上の娘二人は器量も性格も頭も十人並みの娘なので嫉妬深い母親を刺激しません。つまりこの二人は母親と似たり寄ったりの人生を歩み、どうころんでも母親以上に幸せになることはないので、母親の立場を脅かすことはないのです。

 が、末っ子は違います。美しくて、頭も性格もよく、誰にでも愛される要素をもって生まれてきています。どれほどの可能性を秘めているかわかりません。母親にすれば、自分がとうてい知りえない世界をやがて知るであろう、それゆえ華やかな人生が待っているような、つまり自分よりはるかに幸せになってしまいそうな可能性のある娘は同性として許せないのです。そんな存在は、イヤでも自分の人生の現実を突きつけてくるからです。

 他にも、自分をイジメた姑や、小姑に似ていたり、浮気をした夫にそっくりな娘などが母親に疎まれてしまう。あるいは、自己嫌悪の激しい母親であれば、自分とそっくりの娘の存在にイライラしたりします。いずれにしても、ある子どもに対して、母親が自分の劣等感を投影するのであって、投影されてしまった方は災難としかいいようがありません。
 
 もし母親が夫から愛され、自分自身の生きがいを持ち、人生を謳歌していて幸福ならば、子どもの人生に嫉妬も過度の干渉もしないはずです。自分のことで目一杯忙しいのですから。しかし虚しさをもてあましている母親はいくらでも巷にあふれているのではないでしょうか。白雪姫やシンデレラの母親も、娘の人生に干渉し過ぎる現代日本の母親も、実は愛に飢え、人生に幸福を見出せない、さみしい人たちなのです。

 では母親に嫉妬されて生きづらさを感じている娘はどうすればいいのでしょうか。これはもう精神的にも経済的にも親から自立するしかありません。成人後も親にパラサイトして母子密着した生活を送っているのは本人の問題としかいいようがないからです。 
 
 昔話というのは、人間の心理がよく描かれているものですね。グリム童話のラプンツェルなどは母親の娘への嫉妬がわかりやすく書かれていますが、他にもいばら姫ロバの皮をかぶった王女なども娘に嫉妬する母親の物語なのです。昔話に登場する魔女や継母はすべて実の母親というわけです。

 ★このあたりの心理、くわしく知りたい方にお勧めの本です。なぜ、「白雪姫」は毒リンゴを食べたのか・岩月謙司著
 ただし著者は’04、12月7日わいせつ罪の廉で逮捕されてしまいました。
「父親や母親に嫉妬された娘たちを、幼児期に与えられるはずだった言葉かけやスキンシップによって育てなおす療法を施す」と称して行き過ぎた行為をしていたということです。

 たぶん最初は熱意や愛情から出た行為だったのだろうと推察しますが、どこまでが愛情でどこからが支配欲なのかわからなくなってしまったあたり、はからずも自分の学説を自ら実証してしまったかたちになったようです。

 学者として学説を唱えている分にはよかったのでしょうが、悩みを抱えた女性に”独自の療法”を施してしまったことはあきらかに踏み越えてはならない一線だったのでは。

 まあ、このあたりの事情を加味しながら読んでみるのもいいかもしれません。 学説そのものは一読の価値はあると思います。重要なことは、学説であれ何であれ、外から取り入れたものは自分なりに咀嚼すること。そして盲信、依存しすぎないことです。
 ★この記事に関連するプルート通信内の記事

蛙の王ー母親に呪われた青年

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コメント

あ~、岩月先生の、その事件ですか?
実際のところは、判りませんよ?
先生の研究室で、以前から自殺未遂を試みる女性とか居ましたから。
その事件の女性も、精神科に通っていたとか何とか。
「試し」と言われる行為です。各種保護団体や、カウンセリングの世界では有名な話。
「相談」と称し、部屋に「証拠品」を仕込むくらい、常套です。
やってる本人は、「自らの行いは正当である」と信じて疑いません。厄介です。

投稿: ふわふわ | 2014/04/18 00:20

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